カメラ・レンズのメーカーであるシグマ社といえばFOVEONセンサー。
高感度に弱い、動画も弱い。けどハマった時の写真はピカイチという尖ったセンサーであるFOVEONセンサーを搭載したカメラは、残念ながら現在は次世代センサーの開発のため市販カメラが無い状態。
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▲販売終了となったミラーレス一眼「sd Quattro H」
昨年、山木社長からフルサイズFOVEONセンサーの開発状況について言及がありましたが、ここ最近、フルサイズFoveonセンサー搭載ミラーレスカメラが2月25日の中国・上海でのイベント時に発表されるのでは?という噂が駆け巡っていますが、真相はいかに!?
フルサイズFOVEONの道のりと噂について
フォベオンセンサーってどんな技術?
従来のベイヤーセンサーとは一線を画す、フォベオンセンサーは赤・緑・青それぞれの色を独立した3層構造で検出する仕組みを採用。
この構造により、空間周波数の向上やモアレ現象の低減、さらには光電変換効率の最適化が期待され、解像度と色再現性の両立が可能になるというメリットがあります。
シグマ社は2002年にこの技術を取り入れ、APS-Cサイズのカメラで実績を積んできたものの、フルサイズへの展開にはまだ多くの課題が残されています。
フルサイズ化への挑戦とその壁
シグマ社がフルサイズFoveonセンサーに挑戦し始めたのは、2018年のPhotokinaから。
しかし、技術的な壁は高く、以下の3つの大きな課題が指摘されています:
- 光電変換効率の低下: 深部の変換層で効率が落ちる問題
- 製造コストの増大: 3層構造の微細加工がコストを押し上げる
- 読み出し速度の制限: 動画性能などで読み出し速度に制約がある
実際、2020年2月にはTSIセミコンダクターとの共同開発が白紙に戻されるなど、道のりは決して平坦ではありませんでした。
最新の開発状況&噂の真相
2024年4月のDPReviewインタビューで、山木和人社長が「プロトタイプ段階で新たな回路図を作成中」と発言。
従来の1:1:1画素配置から、部分的に2層構造への転換を模索するなど、設計思想の転換が進んでいます。
また、読み出し速度が従来比300%向上する新アーキテクチャの特許出願や、深層学習を応用したノイズ低減技術も開発中とのこと。
一方で、中国のWeiboでは、2月25日に上海で新型機が発表されるとの噂が急拡散。しかし、公式情報や主要代理店からの発表は一切なく、画像の解像度や詳細も疑問視されているため、噂の信憑性については慎重な判断が求められます。
市場戦略と競合との比較
シグマ社は、フルサイズミラーレス市場の急成長に合わせ、Lマウントアライアンスの強化や新たな大口径レンズの投入など、システム全体の完成度を高める戦略を進めています。
しかし、ソニーの積層型BSIセンサーや、ニコン・キヤノンの先進技術と比較すると、現段階でフォベオンセンサーの優位性は相対的に低く、技術面・商業面での壁も多い状況です。
結論
総合的に見ると、現時点でのフルサイズFoveonセンサー搭載機の正式な発表は、2025年2月には実現しにくいと予想されます。
それでも、材料工学の進歩や東北大学との共同研究、EUVリソグラフィの導入など、今後の技術的ブレークスルーによって、将来的には他社にない技術的優位性を発揮できる可能性は十分にあると言えるでしょう。
今後もシグマ社の動向から目が離せませんね。技術的な課題をクリアし、魅力的な製品として実現される日を楽しみにしながら、今後のアップデートに注目したいところ。
とはいえ、開発の目処がついたので半年後・1年後にこの機種を発売します!といったアナウンスがされないかなと、いい意味で予想を裏切られることを願っています。