40年物のラフィットを飲んでボルドーワインに対する見方が変わった

今回、思うところがあって購入した自分と同い年のシャトーラフィットロートシルト。到着から1週間以上が経過し、ある程度はワインも輸送疲れから落ち着いたと思うので、いよいよ飲んでみることにしました。

人生の折り返しを目前に控え、セルフお祝い用ワインで悩む日々

当日用意した他のワイン

今回ラフィット以外に3本用意。1本目は泡という事でずっと前に家族からプレゼントされて眠ったままだった「モエ・エシャンドン アイス アンペリアル」。2本目は5大シャトーに迫る「スーパーセカンド」の中で筆頭と称されるシャトー・レオヴィル ・ラス・カーズのセカンドラベル「ル・プティ・リオン・デュ・マルキ・ド・ラス・カーズ」

レオヴィル ・ラス・カーズは5大シャトーの1つであるシャトー・ラトゥールに隣接した極上の畑から収穫されたブドウを使用しているという事で、これもまた飲んでみたかった魅力的なワイン(値段もたまにであればまだ許容範囲内かなと)。

最後は締めのデザート(といってもスーパーで買ってきたハーゲンダッツ)に合わせた甘めのワイン「Bimbadgen REGIONS Botrytis Semillon RIVERINA」。

▲書くスペースが無くなりましたが、品のいい甘口ワインといった感じで飲みやすかったです。ぷくおは海外旅行のお土産で購入してきましたが、時期によっては楽天市場でも2千円台半ばで売られているようです。

こちらも普段はなかなかデザートワインまで辿り着かずにずっと飲んでいなかった一本ですが、今日なら飲むのにふさわしいかと思い用意しておきました。

合わせた料理

最後まで決まらなかったのが料理。本当はウルフギャング・ステーキハウスのテイクアウトをお願いしてみたかったのですが、かなり予算オーバーになってしまっているので断念。

ウルフギャング・ステーキハウス丸の内店でランチ

<ウルフギャングも近郊の方であればUber Eatsでも対応>
【a】Uber Eats  フード注文

他にもコストコで最上級グレードのステーキを買ってきて焼く!というのも考えましたが、付け合わせとかを考えると、自宅でステーキはちょっと絵的に寂しくなりそうというのでこちらもパス。

王道路線でボルドー地方の郷土料理を調べてみたところ、鴨肉を使った料理が多く、フランスの冷凍食品ストアのピカールで鴨肉のコンフィを買ってみたかったものの、ピカールの存在を思い出した時には買いに行く時間が無くなっていました。

最終的に選んだのはフランス南西部の豆料理であるカスレ。豆料理ではありますが、数種類の肉を煮込むのでボルドーワインにも合うかなということと、何度か作ったことがあったのでこちらをメインに。前菜としてサーモンとアボカドのセルクル仕立てを作ってみることにしました。

日曜昼過ぎに急いでイオンで食材を調達し、急いで仕込み開始。肉・野菜を切って、炒めたのちにブイヨンで2時間煮込みます。

その間にサーモンとアボカドのセルクル仕立てを作成。作り方は、A.スモークサーモンを細かい角切りにしたものにレモン汁、塩、胡椒で味付け B.アボカドをペースト状にしたものにレモン汁、塩、胡椒で味付け C.キュウリとパセリを角切りにし、オリーブオイル、塩、胡椒で味付け したそれぞれを、セルクル(型)に入れるだけで完成。

続いてカスレに作業を戻します。2時間経過した鍋にインゲン豆を加えてさらに30分間煮込み、最後に耐熱容器に盛ってパン粉をまぶし、オーブンに15分ほど入れて完成。

手が空いた時にテーブルセッティングなどをやったせいもあり、準備が整う頃にはヘロヘロになっていました(笑)

食事

まずはアイスインペリアルを開栓。本来は夏の日差しの下、氷を入れて飲んでも美味しくなるように作られたシャンパンですが、氷なしでも優しい飲み口でグイグイ飲めてしまいます。しばらく氷なしを楽しんだ後で氷を入れると、シャンパンの温度が下がってよりキリッとした味わいに。

これは確かに日差しの下で楽しむのが似合いそうなシャンパンでした。

また、前菜として作ったサーモンとアボカドのセルクル仕立ても、スモークサーモンの甘みとキュウリとパセリのシャキシャキ感、アボカドのクリーミーさがシャンパンとマッチしていて美味しかったです。作るのも簡単だったので、これからの定番料理になりそうな予感。

いよいよラフィット開栓

シャンパンを飲み干したところで、今日のメインイベントといっても過言ではない、ラフィットの開栓作業を行います。

Youtubeで教わった通り、キャップシールを全て剥がすところから作業はスタート。コルクの先端は綺麗だったものの、キャップシールで隠れていたコルク下部は変色していて、簡単にはコルクが抜けない予感がします。

ワインをパニエにセットした後に、ビンの先端を濡らしたタオルで綺麗にし、コルクをタオルで蒸らしてからいよいよコルクを抜き取りにかかります。

コルクの端の方にソムリエナイフのスクリューを入れ込み、なるべくコルクの接触面積が大きくなるよう斜めにスクリューを入れていきます。

すると、Youtubeで言われていた通りコルクを伝って中に空気が入り込み、ぷくぷくと泡立っているではありませんか!

今までこんな現象を見たことはないので、年月が経って中身が少し減少したワイン(コルクを通じて少しずつワインが蒸発し、中が負圧になる)ならではだとちょっと感動。

空気が入り込み、中の負圧が解消されたらいよいよコルクを抜きにかかります。

ちょっとだけソムリエナイフで抜いてみようと試みますが、少し引き上げる動作をしても全然コルク全体が動く気配がなく、下手するとコルクが分断されてしまいそう。

というわけで、念のために買っておいた2ツメタイプのワインオープナーも投入。

ソムリエナイフ、ワインオープナーの両方を回すようにすると徐々にコルクが抜けていきます。抜いている途中で、先端の方のコルクが少し崩れるなどしましたが、中に落ちてしまったり、残ってしまうことなくコルク抜き完了。今までで一番緊張した開栓作業でした。

いよいよ飲んでみる

事前に開栓していたレオヴィル ・ラス・カーズはリーデル・オーグラスに。ラフィットは今回のために購入したリーデル・スーパーレジェーロに注ぎます。

よくワインの雑誌などを見ていると、レンガ色といった表現を見ますが、ラフィットは確かに全体がレンガ色で明らかに年月が経過している感じがします。

期待を込めてまず一口ラフィットを飲んでみると、最初は失敗した…とまでは言わないものの、ワインも40年経つとこれだけ色褪せた味わいになるんだな。と感じる味わい。いや、確かに昔は凄かったと思わせる香りはあるのですが、飲んだ瞬間に「褪せている」としか言いようのない香りが口の中に広がります。

でもまあしょうがない。自分だって40年経過して、色んなところにガタが来ているし、ワインだってそうなって仕方ないじゃないと。そう思いながらゆっくりと飲み進めました。

ところが、30分、1時間と経過するうちに、そんな色褪せたフィルターが徐々に取れる、というか、一気に登山中に視界を奪っているガスが晴れるかのように味わいは変化し、一緒に飲んでいたレオヴィル ・ラス・カーズなんかまだまだ青二才だ!と言わんばかりになりました。

まるでビロードが敷き詰められた静謐の間のような静けさと豪華さ、さらに鼻腔をくすぐる蜂蜜のような香りが広がり、さすが5大シャトー!と拍手を叩きたくなるような、マリオで言ったらスターを手にしたスーパーマリオのような、そんな輝きを取り戻したのです。

このスーパースター状態になったのはボトルも半分を過ぎた具合。

この先悪くなるのは分かっていても最後の灯火まで見てみたい一心で、この鮮やかな四十路のワインの輝きを試み刻みつけ、さらにワインが変化するのを待ちます。

すると、スーパースター状態になってから早くも30分ほど経過する頃、まず最初に酸味が目立つように変化。

ここから先は、まるで浜辺に作った砂上の城がどんどんと満潮を迎える海に侵食されていくようにワインの輝きが消え失せ、封を開けた時以上にグラスの香りは楽しめるものの、口に含むとありし日を懐かしむしかないような、骨組みだけのようなワインに変化してしまいました。

その先の変化は、下の方に溜まった澱(オリ)のせいなのか、酸化が進んだせいなのかは分かりませんが、電球に透かすワインもくすんだ色合いになり、香りだけが偉大だった頃の名残を残しているような感じ。味も登山で言ったら夕方の少し陽の光が弱くなった頃にガスに包まれてしまったような、まろやかな苦味が出てきて、年代物のワインを飲んでいるんだな。と理解させられるような味わいでした。

正直、最初は$750をかけてセピア色の映画を買ってしまったようにも思えましたが、あの、スーパーセカンドのセカンドラベルなんか目ともしない輝く美味しさを味わえた時、40年の重みを体感したように思えました。

まるでそれは、これから先どうやって仕事人生を送っていくか?と思っている自分に対し、これまでの間に積み上げた時間がもたらす輝きを教えてくれるようで、そう思えただけでも買った甲斐があるというものでした。

そんな、自分と同い年のラフィット。飲み始めと最後はセピア色だったり苦味が出たと書きましたが、それでもレオヴィル ・ラス・カーズと比べると、最初から最後までラフィットの方がワインから壮大な香りが楽しめました。

レオヴィル ・ラス・カーズはとにかく刺々しい印象。今までのぷくおであれば、これがボルドーのワインだと思って飲んでいたので、その刺々しく重い飲み口の中に感じられる複雑な香りから「さすがいいワインは違う!」と思っていたのでしょうが、常識が覆った今となっては単に飲みにくい一本に自分の中で変化してしまいました。

途中で痺れを切らしてデシャンタージュし、かなり飲みやすくなったものの、それでも荒々しいタンニンが完全に身を潜めることはありませんでした。

物にもよるのでしょうが、少なくとも20年ぐらい経った物の方が、ボルドーワインには相応しいというのが初めて理解できた、そんな40歳の記念日でした。

2 件のコメント

  • Yahooリアルタイム検索でお邪魔しました。私もアラフォーで、最近「神の雫」を読んで「ワインでこんなに感動できるんかいな」と思い、お高いワインを試しに買ってみた者です(シャトーラフィットロートシルトです)。私はワインの良し悪しは全く分からないんですが、このブログの記事は自分にちょっと近い立場の主さんのイメージが重なってとても面白かったです。私はまだしばらく寝かしておこうと思っています。

    • 西武さんへ
      コメントありがとうございます。
      西武さんもシャトーラフィットロートシルトを購入されたんですね! 違うビンテージの味わいも気になります。
      「神の雫」面白いですよね。私も読後はよりワインと食事のペアリングに関心がいくようになり、ハマった時にはこれがマリアージュかな?なんて楽しめるようになりました。
      私は、今回はレストランにワイン持ち込みも考えましたが、持ち運びでオリが舞いそう、ゆっくりと楽しむ時間が取れないかもしれない、グラスまでは持ち込みできなそう。と言った理由で自宅で楽しみましたが、そうするとグラス選び、食事、前後のワイン、さらに言えばテーブルセッティングと、考えることが多くて大変でしたけど、そういうのも含めて楽しく記憶に残るワインとなりました。
      西武さんも購入されたラフィットを最大限楽しんでくださいね。
      これからもよろしくお願いします。

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