銀座で日産アリアをチラ見してきた

日産が2021年中頃の発売を予定している新型EV「ARIYA(アリア)」。

銀座にあるNISSAN CROSSINGに展示されているということで、別件の用事を済ませた後覗いてきました。

NISSAN CROSSINGでの展示

銀座鳩居堂の通りを挟んで反対側の一等地に構えるNISSAN CROSSING。現在は新型コロナウイルスの影響で営業時間が短く(11時〜18時)なっており、到着したのが閉館5分前ということで慌てて見てきました。

こちらが噂のアリア。全体的に凸凹のないフラットな面構成となっています。ボディーサイズは全長×全幅×全高=4595×1850×1655mm。ホイールベースは2775mmということで、全幅はグローバルカーということでそれなりにあるものの、マツダCX-5(4,545 x 全幅 1,840 x 全高 1,690 mm)と似たようなサイズ感ですね。

後方から見たところ。リアコンビランプは今はやりの横一文字に光るタイプ。展示車両はアンダー周りがグロスブラックとなっていたため、しばらくすると磨き傷が気になってしまいそうです。また、面白かったのはルーフ後端についている(おそらく)アンテナ用のフィンが2つあること。2つある車は珍しく、何のためなのか気になってしまいます。

時間もないので早速中を見てみます。すっきりしたクリーンなメーター/ダッシュボード周りですね。また、メーターはセンターモニターと2つ繋がったメルセデスベンツ風な仕上がり。Aピラーは外から想像できる通り結構寝ていますね。

センターのエアコン吹き出し口下には木目調パネルに透過光でエアコン関係のタッチ式スイッチが並びます。センターコンソールは、日産のアリア特設サイトを見ると前後にスライド可能な模様。そしてEVの特徴を活かしたフラットに近いフロアは、運転席と助手席間の移動が簡単に行えそうです。このあたりは日本車らしいなと思いました。

フロントドア周りはこんな感じ。奇をてらわず、オーソドックスかつ上品な仕上がりですね。アームレスト上には白っぽく光っている部分がありますが、こちらはアンビエントライトのように格子から漏れ出る光がムードを高めています。そんな上質さとはそぐわないのがスピーカー周り。500万超が予定されている車なので、もう少しグリルを付けるなどして発売までに質感を高めてほしいなと思いました。

こちらが後席。時間の関係で乗り込めなかったため、実際の座り心地は不明なもののかなり足元空間や座面が広そうです。ドア周りも前席に準じて質感が担保されていますし、エアコン吹き出し口下にはシートヒーターのスイッチとUSB(USB-A、USB Type-Cがそれぞれ1つずつ)の姿も見えます。また、サイドウィンドウも狭まったりしていないので閉塞感もなく快適に過ごせそうです。

時間がないので本当にあっという間の見学でしたが、なかなか良さそうな車というのが第一印象でした。

それではこの先は公式特設サイトや発表されているリリースを元に、どれだけ競争力がありそうなのか見ていきたいと思います。

日産 アリア

「英知を宿すモンスター」と冒頭で紹介されている「日産 アリア」。最大の特徴は新開発の4輪制御技術「e-4ORCE」でしょう。

状況に応じて人の目の瞬きより3倍以上の速さで前後モーターのトルクを制御し、意のままのハンドリングやスムースな乗り心地、滑りやすい路面での優れた操縦安定性を発揮するとのこと。

EVでいつも話題となる航続距離と充電ですが、アリアは65kWhと90kWhの2種類のバッテリー容量を選べ、2WD 90kWhモデルでは最大610kmの航続距離(WLTCモード)が可能。さらに、充電規格CHAdeMO(チャデモ)が最大130kWまでの入力に対応するそうです。現在普及している50kWレベルの3倍弱の供給量があることから、短時間でも十分な航続距離が復活しそうです(問題はどこまで新型CHAdeMOが普及するかにもよりますが)。

気になる価格ですが、”お客様の実質購入価格は約500万円からとなる見込み”という一言がリリースに記載されていることから、約40万円のCEV補助金を考えると540〜550万円程度がエントリーモデル価格になりそうですね。

Cセグメントとしてはなかなか高い価格設定となってしまので、e-4ORCEが楽しめる4WDモデルはさらに高価なことから、どれだけ普及するのかちょっと心配です。せっかくならNISMO仕様は4WDでハイパフォーマンスであり、外観も差別化されている。といった売り方の方が買うほうも選びやすいのにと思いました。

主要諸元

こちらが現在公表されているアリアのモデル別主要諸元となります。

主要諸元(日本仕様)Ariya (2WD)Ariya e-4ORCE (AWD)
65kWh
バッテリー搭載車
90kWh
バッテリー搭載車
65kWh
バッテリー搭載車
90kWh
バッテリー搭載車
バッテリー総電力量
( )は使用可能電力量
65kWh
(63kWh)
90kWh
(87kWh)
65kWh
(63kWh)
90kWh
(87kWh)
最高出力160kW178kW250kW290kW
最大トルク300Nm300Nm560Nm600Nm
加速性能 (0-100 Km)
(社内測定値)
7.5秒7.6秒5.4秒5.1秒
最高速度160 km/h160 km/h200 km/h200 km/h
航続距離*
(WLTCモードを前提とした
社内測定値)
最大450km最大610km最大430km最大580km
全長4595mm
全幅1850mm
全高1655mm
重量
(モデル、装備により異なります)
1900kg – 2200kg
ホイールベース2775mm
荷室寸法466L (2WD) / 408L (AWD)
タイヤ寸法
(フロント / リア)
235/55R19
255/45R20 (グレード別設定)

バッテリーを多く積むことから車重もかさんでしまうため、2WD仕様では加速性能も(500万超の車としては)普通です。なお、リーフで一部から問題視されていたバッテリー冷却は、アリアでは冷却機構が設けられるそうなので、充電時の熱ダレも抑えられそうですね。

ライバル

さて、430km〜580kmの航続距離を持つライバルEVとしては、まずテスラ モデル3が挙げられるでしょう。本来なら同じSUV同士となるテスラ モデルYが適しているのでしょうが、こちらはまだ日本仕様が不明なためモデル3の概要を見ていきます。

価格や航続距離などを含めた主要諸元はこちら。

主要諸元スタンダードプラスロングレンジ AWDパフォーマンス
価格511万円655.2万円703.2万円
バッテリー総電力量55kWh75kWh75kWh
最高出力180kW339kW339kW
最大トルク350Nm527Nm527Nm
加速性能 (0-100 Km)5.6秒4.6秒3.4秒
最高速度225 km/h233 km/h261 km/h
航続距離
(WLTCモード)
409km560km530km
全長4694mm(アリア比+99mm)
全幅1850mm(アリアと同じ)
全高1443mm(アリア比-212mm)
重量
(モデル、装備により異なります)
1612kg – 1847kg
ホイールベース2875mm(アリア比+100mm)
荷室寸法前後合わせて425L
タイヤ寸法235/45-18インチ〜235/35-20インチ

こうして見てみると、トランクはアリアの方が使いやすそうですが(SUVですしね)、その他の項目は値段を含めてもテスラ モデル3のスタンダードプラスのほうが魅力的に思えてしまいます。

ただし、アリアの運転アシスト技術「プロパイロット2」はおそらく先ほどの価格に含まれているのでしょうが(希望的観測)、モデル3のオートパイロットは87.1万円のオプション(2020年7月現在)。

色々な事故が報じられはしますが、すでに信号や一時停止標識を認識するなど、トップレベルの運転支援技術だと思えるので、オートパイロットを選択すると約600万円となり、アリアより50〜60万円ほど高くなってしまいそう。

また、インテリアはシンプルですが若干コストダウンのためにシンプルにしすぎたようにも思えます。

さらに、テスラは今までのメーカー・ディーラー会社という関係をなくして全てメーカーからの直販となっています。そのためにトラブルが起きた際に近所のディーラーに相談に行く。といった行動が取れないのを嫌う方も多そう。

こういった事情を考えるとアリアにも商機は見えてきそうですが、日々ソフトウェアアップデートで進化するテスラ社も魅力的ですね。

年々進化していくバッテリー技術からEVの普及は遅れていますが、徐々に面白い車種が増えてきました。次回の買い替え時はEVも含めた中から検討したいと考えるぷくおでした。

図解 EV革命 100年に1度のビジネスチャンスが一目瞭然! (毎日新聞出版)

図解 EV革命 100年に1度のビジネスチャンスが一目瞭然! (毎日新聞出版)

村沢 義久
1,300円(11/19 18:50時点)
発売日: 2017/12/18
Amazonの情報を掲載しています

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です