MacBook Pro 2021 14インチのディスプレイは本当に広色域対応? 測色計で計測してみました。

1,000ニトの持続輝度、1,600ニトのピーク輝度、10,000個のミニLED、1,000,000:1のコントラスト比、1,000,000,000のカラー。と、豪勢な数字が並ぶMacBook Pro 2021年モデルのLiquid Retina XDR。

仕様にも広色域(P3)と記載されています。パソコンで一般的なsRGBより多くの色を定めたものとしてAdobe RGBがありますが、Appleがデジタルシネマ規格をベースに策定したのがDisplay P3。

これを信じて購入したMacBook Proですが、実際にどの程度の色域を持っているのか手持ちの測色計を使って調べたところ、なんだかよく分からない結果となってしまいました。

color munki で計測

既に販売終了していて現在は同じ形で違う名称(I1Studio)として販売されている測色計のColorMunki。

ぷくおが知らぬ間にApple Siliconに対応した測定ソフトが公開されていたので早速ダウンロードしてみます。

昔と違いLEDなのですぐにディスプレイ 表示が落ち着きそうではありますが、しばらく点灯させてから計測開始。

ちなみに、MacBook Pro 2021のディスプレイ設定は輝度範囲や使用シーンに合わせたプロファイルが選択可能となっています。

まずはパネルの性能をフルに発揮すると思われるプリセット「Apple XDR Display(P3-1600 nits)で計測。ぷくおは動画より写真編集をするので、キャリブレーション設定は写真向きの設定としました。

△こちらはP3計測時の時の設定画面

なお、計測時には「輝度を自動調節」と「True Tone」をオフにしておきます。

まず初めにターゲット輝度に合わせるわけですが、最大輝度では439cd、最小輝度は3cdと、かなりの差があります。この辺りはさすがミニLEDディスプレイ と言ったところでしょうか。反面、冒頭にも記載した持続輝度1,000ニトからすると、若干物足りないようにも思えます。

その後は自動で計測が行われ、最後にiccプロファイルを保存して終了。最後に表示されるキャリブレーション前後のサンプル画像を見ると、ほんの少し色合いが調整された感じです。

測定結果

さて、ColorMunkiで測定したディスプレイのiccプロファイル。Mac付属のColorSyncユーティリティで表示したのがこちら。

△Display P3に対するMacBook Pro 2021 14inchディスプレイ(Lab)

△Display P3に対するMacBook Pro 2021 14inchディスプレイ(Luv)

P3対応ディスプレイのはずなのに、緑・赤が全然足りていないですね。ううむ。続いてsRGBの色域と比較したのがこちら。

△sRGBに対するMacBook Pro 2021 14inchディスプレイ(Lab)

△sRGBに対するMacBook Pro 2021 14inchディスプレイ(Luv)

 さすがにsRGBとなるとだいぶカバーできていますが、それでも青〜紫あたりが怪しいです。パーセンテージで見るとどの程度カバーできているのか。Windowsの有名ソフト「ColorAC」で各色空間に対するカバー率を計算してもらいました。

ColorACでの計測結果

  • sRGBモード比:93.6%
  • Display P3比:74.7%
  • Adobe RGB比:75.1%

初めてColorACを使ったので慣れない面はありますが、各色空間に対するMacBook Pro 2021 14inchディスプレイのカバー率はこんな模様でした。

ColorACの使い方が間違っている可能性も0ではないでしょうが、この数字が本当ならはっきりいって失望です。

ただ、気になるのが新型MacBook ProのディスプレイはミニLEDなので測定そのものがうまくいかなかった可能性があるほか、計測時の全画面に測定パッチの色が表示される時と、実際に使用している画面のモードが切り替わっているような気もします。

というのも、ディスプレイのプリセットをP3-DCIやsRGBでの測定結果も測定してみましたが、P3モードで若干色域が変化したものの、それ以外ではiccプロファイルの色域に特に変化が見られませんでした。

プリセットを変えるとキャリブレーションソフトではない通常利用の画面では大きく色が変化するので、それなりのプリセットが含まれているのは間違いなさそう。その他にも、HDR動画を再生するときは輝度を上げる処理がされているようですので、i1Displayのソフトウェアがアップデートされないと正しい計測用パッチが表示できないように思えて仕方ありません。

とはいえ低い数字が出てしまったのは事実。なので、次回は実際に手持ちのAdobe RGB対応カラーマネジメントディスプレイと同じ画像を表示して、差異を見てみたいと思います。

ちなみにぷくおはディスプレイのフリッカーには弱い方なのですが、画面を見つめていても、またディスプレイ手前で指や鉛筆を振るなどしても気になることはありませんでした。

2 件のコメント

    • 情報ありがとうございます。やはりソフト未対応によるものだったんですね。sRGB, DCI-P3共にいい数値であったのは安心したのですが、キャリブレーション整備が進むまではプロの方にとっては使いづらいかもしれないですね。

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