昨年から予告されていたメルセデス・ベンツの新型フル電動MPV「VLE」がついに正式発表されました。
VクラスとEQVの後継として開発されてきたモデルで、EV専用の新プラットフォーム「VAN.EA」を採用する最初のモデルです。事前情報がいろいろ出ていましたが、実際のスペックを見たらさらにすごいことになっていました。
自分がいちばん気になっていたのは、ラウンジ風のインテリア。コンセプトカー「Vision V」で見せた空間が、どこまで市販車に反映されるのか。発表内容を見る限り、かなり本気で再現してきた印象です。
目次
デザインについて
フロントはコンセプトカーのVision Vにかなり忠実な仕上がりで、正直ここまでそのまま来るとは思っていませんでした。グリル全面にパンチングメッシュを敷き詰めたような巨大なフロントフェイスは、写真で見ると若干ファニーな印象もあります。
ただ、ヘッドライトの内側には精悍なパーツが詰まっていますし、ボンネット上のスリーポインテッドスターもしっかり立ち上がっている(これはグレードによる模様)。実車で見たらディテールに引き込まれて、かなり格好いいと感じると思います。写真だけで判断するのはもったいない顔つきですね。
一方でサイドシルエットは、全体的にぬめっとした有機的な曲面で構成されていて未来的な雰囲気があります。ただ、サイドウィンドウの後端をアーチ状に下げているデザインが、リアドアとのバランス的にちょっと気になりました。実車でどう見えるか、もう少し色々な角度から確認したいところです。
主要スペック(暫定値)
| 項目 | VLE 300(RWD) | VLE 400 4MATIC |
|---|---|---|
| 最高出力 | 203 kW | 300 kW 以上 |
| 0-100km/h加速 | — | 6.5秒 |
| 航続距離(WLTP) | 700km 以上 | 公表予定 |
| バッテリー容量 | 115 kWh | 115 kWh |
| 急速充電(最大) | 300kW(15分で355km分) | 300kW(15分で355km分) |
| 最小回転直径 | 10.9m(後輪操舵時) | 10.9m(後輪操舵時) |
ミニバンで航続700kmという数字がついに出てきました。昨年日本でも発売されたフォルクスワーゲン「ID.Buzz」が550km程度(84kWh)なので、VLEはそれを大きく上回ります。カタログ値の7割がけで計算しても東京〜大阪間をノーチャージで走り切れる計算で、EVとして実用域に入ってきたなという印象です。
気になった5+1つの特徴
① 31.3インチの8Kスクリーン

後席の天井から降りてくる31.3インチ8Kパノラマスクリーン。BMW 7シリーズの後席モニターが話題になりましたが、それを上回るサイズです。5G接続でビデオ会議やクラウドゲームにも対応するとのこと。
休日の外出先でもiPhoneを使ってオンライン会議に引っ張り出されることがある自分としては、「会議が終わったらそのまま映画」という使い方は純粋に羨ましい。子ども向けには高級すぎますが(笑)。
② シートが自動で動く「シート・バレエ」
アプリ操作でシートが自動整列する機能を搭載。エグゼクティブ向けの足元広々モードや荷室最大化モードをボタン一つで切り替えられます。「Roll & Go」という機能でシートをローラーで移動・脱着できる仕様もあるようです。
従来のVクラスはシートが重くて前後スライドしか使わない、という声もよく見かけていたので、ここの改善は素直に評価できます。ただ対面シートは、海外タクシーで経験した身としては移動中に酔いやすくてあまり使わないかな、というのが本音。あと脱着したシートの置き場所問題は、どの車も未解決のままですね(笑)。
③ 後輪操舵+エアサス「AIRMATIC」
最大7度の後輪操舵を採用することで、最小回転直径が10.9mまで縮まります。ミニバンサイズでここまで回れるのは正直驚き。エアサスも搭載されていて、高速時は車高を下げて電費を稼ぎ、乗り降り時は低くして乗客をエスコートするといった細かい動きも可能です。
④ MB.OS+Google Gemini
車載OS「MB.OS」にChatGPTとGoogle Geminiを統合。文脈を理解して過去の会話も覚えているとのこと。インターネット経由で最新モデルが使えるコネクテッド仕様なら、アップデートで進化し続けるのも期待できますね。
⑤ 牽引能力2.5トン
ラグジュアリーな見た目とは裏腹に、牽引能力2.5トンをしっかり確保。ボートやキャンピングトレーラーを引いての長距離移動まで想定されています。このあたりの実用性は欧州らしい発想だなと思います。
⑥ 充電ポートの蓋
細かい話ですが、EV乗りとして地味に気になるのが充電ポートの蓋の形状です。自宅充電が基本のEVは長時間ケーブルを挿しっぱなしになるので、パカッと外側に開くタイプだと通りすがりに服が引っかかって壊さないかと毎回ちょっとだけ気になっています。115kWhもあるVLEならなおさら充電時間も長い。
調べてみたら、VLEの充電ポートは下方にスライドして開く仕様のようです。これなら引っかかる心配もほぼないし、電動スライド式よりコストも抑えられる。地味ですが、個人的にはかなり好印象なポイントです。
気になる点も正直に
300kWの充電性能は魅力ですが、日本でこれだけの出力を出せる充電器がどれほど整備されているかというと、正直まだまだです。改めてGoGoEVで調べてみると、200kW以上の充電器はほとんどが「FLASH」という機種で、しかも1基のみの設置がほとんど。テスラのスーパーチャージャーのように複数台並んでいて順番待ちが少ない、という体験には程遠い状況です。
価格も噂では57,000〜79,000ユーロとされていて、日本では1,000万円を切る水準にはならないでしょう。
それでも、使い勝手のいいミニバン×EV×電動スライドドアという組み合わせは、今のところVLEとID.Buzzくらいしか選択肢がないブルーオーシャン。日本導入の続報が楽しみです。





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