DIC川村記念美術館が休館に!

各所で報じられている通り、DIC川村記念美術館が2025年1月で休館になるのだそう。このDIC川村記念美術館というのは千葉県佐倉市にある美術館で、池のほとりにある美術館。

川村記念美術館全景

via : 川村記念美術館

こちらは、化学メーカーであるDICの2代目社長が大切にしていた「ひとり絵と語らう時間の喜び」を、世の人々と分かち合いたいという想いから美術館構想を抱き、作品収集を本格化。

その後、1990年5月に同社の総合研究所敷地内にオープン。さらに、2008年には同社創業100周年記念事業として「ロスコ・ルーム」と企画展専用展示室が増築されたという経緯を持っています。

そんな美術館ですが、報道によると美術館経営は赤字続きとなっていて、同社では長期的な企業価値の向上に向けて外部人材が助言する「価値共創委員会」を4月に設置し、美術館運営のあり方を議論。その助言を受けさらに取締役会で協議した結果が運営方法の見直しが必要で、まず2025年1月下旬からの休館が決定されたのだとか。

DICは所蔵する754点の美術作品のうち、クロード・モネの「水連」やパブロ・ピカソなど384点を保有しており、保有する全作品の資産価値は簿価ベースで112億円(2024年6月末)。

時価としては10億ドル(約1,450億円!)にもなるという予想もあるそうで、保有作品が株主の所有物という認識に立てば、会社の資産を赤字続きの美術館に注ぎ込んでいるのは不満に思うのも仕方ないかもしれません。

同社は、今後東京に美術館を縮小移転することを念頭に検討を進めるものの、美術館運営自体を中止するという可能性も排除はしないのだとか。

個人的にも大好きなロスコ・ルーム

過去に3回ほどしか訪問したことがありませんが、広大な敷地の中の池のほとりにある美術館は訪れるだけでちょっと旅行に来た気分になります(実際遠いのですが)。

同美術館で個人的に大好きなのは2008年に作られたロスコ・ルーム。

via : DIC川村記念美術館 根本浩によるロスコ・ルームのスケッチ(2005年)

名前の通り、ロスコのためだけに作られた空間は少し照明が落とされていて、7点の大きな絵が鑑賞者を取り囲むように展示されています。

こんな、ロスコ作品のみで構築された展示空間は、DIC川村記念美術館のほかにはロンドンのテート・モダン、ワシントンDCのフィリップス・コレクション、ヒューストンのロスコ・チャペルの4カ所しか存在しないそうで、静謐な空間の中で大作のロスコ(それぞれ幅3~4m、高さ2m半ほど)を眺めるのは、抽象的なロスコの絵を色々と連想しながら鑑賞するのにぴったりでした。

それほど頻繁には行けないものの、そんな大好きな展示室のある美術館が休館になってしまうのは本当に残念です。

地元である佐倉市や千葉県知事からは「大きな損失」というコメントとともに、佐倉市長からは存続に向けた有効な方策に取り組むといった言及もありました。

とはいえ、既に取締役会で休館が決定されているので、ここから同地での営業を再開させるのはかなり難しそう。都内でリニューアルオープンした場合には、良くも悪くも大勢の人が来場するでしょうから、来年1月までの間で、休館の騒ぎがひと段落下あたりで訪れておこうと思います。

美術館へは、東京駅から1日一往復で直通バスが出ているほか、JR佐倉駅や京成佐倉駅から無料バス(概ね30分に1本)も出ているので、ぜひ訪れてみてくださいね。

美術館情報

  • 名称:DIC川村記念美術館
  • 住所:千葉県佐倉市坂戸631
  • 電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
  • 開館時間:9:30〜17:00(入館は30分前まで)
  • 休館日:月曜(祝日の場合は開館、翌平日は休館)
  • 入館料(コレクション展示):
    • 一般:1,200円
    • 学生・65歳以上:1,000円
    • 高校生以下:無料
  • ホームページ:https://kawamura-museum.dic.co.jp/

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