
2025年6月13日、ANAホールディングスのプレスリリースが静かな話題を呼んだ。「国内線・国際線ともに全クラス無料で動画視聴が可能な高速機内インターネットへ」という一文は、いまや常態化した“空の上でもネット”を、さらに一段加速させる内容でした。
サービス概要
■ 国内線:6月13日から通信帯域を大幅拡大
- 対象機材:ダッシュ8-400を除く全国内線機材+国際線仕様A320neo
- 新機能:YouTube・Netflixなどストリーミング視聴、SNSライブ配信も可
- 置き換え:これに伴い国内線オーディオサービスは6月末で終了
従来はウェブ・メール・テキスト系が主体だったが、衛星通信帯域を大幅に拡張し動画ビットレートでも安定接続を実現。国内移動中にビジネス講演のアーカイブや推しの配信をリアルタイム視聴──そんな時代がやって来ることに。
■ 国際線:B767改修機から順次スタート、2030年末までに8割へ
- 初号機:B767-300ER(JA625A)──2025年8月より運航再開時から
- 改修計画:2026年度内に767全6機、以降新造機含め順次拡大
- 最終目標:2030年末までに国際線機材の8割で全クラス無料+動画可
衛星通信は米 Viasat の最新機器を採用。ANAは2024年にビジネスクラスの無料化→プレミアムエコノミー/エコノミーのテキスト無料化と段階的に拡充してきていましたが、今回は“動画まで無料”という決定打。
■ 利用イメージ
項目 | 従来 | 新サービス |
---|---|---|
通信速度 | 下り2~3Mbps程度 | 最大20Mbps超(機材・衛星ビーム条件に依存) |
動画視聴 | ビットレート制限/事実上NG | 720p~1080pストリーミングOK |
料金 | ビジネスクラスのみ無料(国際) | 全クラス無料 |
■ 便利さの光と“機上の休息”の影
ぷくおは国内線の無料Wi-Fiが始まった当初、「移動中でもブログ更新できる!」と喜んだクチだ。だが国際線となると話は少し複雑。時差調整で強制的にオフラインへ沈む機上の数時間は、心身をリセットする貴重な“インターネット断食タイム”でもあったからだ。
もちろん、乗継案内やリモートワーク、小さな子どもの動画視聴など「あったら助かる」シーンは膨大。社会人としてはメール返信がリアルタイム完結するメリットも計り知れない。一方で、空の上だけは通知ゼロで無責任に眠り倒せた――そんな“逃げ場”が薄れる寂しさも正直あります。
■ 今後のアップデートとまとめ
ANAは「国内外で同一品質のネット環境」を掲げ、2027年までに国内線全機材で衛星を刷新。国際線も 2030 年末を目途に 8 割超を高速化するという大計画。
フライト時間=未開拓の“空白時間”が消える未来はもう間近。便利さとデジタルデトックスの絶妙バランスをどう取るか──利用者側のリテラシーが試される時代になりそうですね。
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